・自民各派会長が「派閥に弊害ない」解消論を批判 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
確かに物心両面で落選時に支えてくれるのは、執行部などではなく派閥なんだろうけれども、如何せん派閥は閉鎖的でトップダウン過ぎたし、メディアに批判され過ぎた。今や「派閥」という言葉はマイナスのイメージしか持っていない。そのことが派閥の中にいる方々は分かっていらっしゃらないようだ。
そもそも自分が権力のトップにいる時に自己の権原を否定するような発言をするわけがないので、これくらいは予想の範囲内とも言える。しかし、こういう発言を"派閥の長"が繰り返すことが、どれだけ有権者にマイナスになるのかは計り知れない。有権者は「結局何も変わってないじゃん」という結論に行き着くことだってあり得る。実態とはかけ離れていようとも、「派閥」に対する大衆のイメージは「古い自民党」なのである。
では、派閥の長は何か派閥のイメージを変えるような発言をしただろうか。私は寡聞にして知らない。ただ、派閥解体論が出る度にそれを押しつぶそうと皮肉をつぶやいてみたり、本来の議論とは異なった視点から解体論を批判する。俺達だって努力しているんだと。だが、どう努力したのかが目に見えて来ない。これでは国民の理解は得られないし、無所属党員の支持も得られるわけはない。繰り返されるのは、権力にしがみつき続ける為のごまかしの言葉だけである。このままでは、いつまで経っても「新しい自民党」などには成り得ない。
そうした観点からすると先の総選挙はもっと激しく自民党が負けてしまっても良かったのかもしれない。先の総選挙直後は「解党的〜」という言葉が新聞の見出しに踊っていたが、今はそんな言葉は出てこない。果たして自民党は解党されて「新しい自民党」になったのか。"派閥の長"の言葉が、今の自民党の状況を如実に表しているのは間違いない。
今更、派閥を解体して何の意味があるのかという意見もあるかもしれない。確かに圧倒的敗退を受けてすぐに派閥解体、指揮系統の再編を実施できれば良かったかもしれない。だが、派閥を解体しないよりは全くと言って良いほど解体した方がマシだろう。党内における意思決定プロセスに変化があるのか、より自由に議論が交わせるようになるのか。そんなことは付随的なことに過ぎない。派閥解体は、国民に分かりやすい形で「古い自民党」の終了を告げ、「新しい自民党」の始まりをも告げるイベントなのである。そこに派閥解体の必要性がある。
民主党が今なお国民からそれなりに支持を受けているのは何故かといえば、それは分かりやすい対立構造(官僚対政治家や企業対労働者など)を作り上げ、国民に近い側について、相手に悪いイメージを抱かせて叩くことで国民の支持を得ている。その中身などはあまり問題にはなっていない。そうした動きは国民のとっては分かりやすいし、自分達の側に政治家がいるのだと、少なくとも分かりやすいから政治が身近にあると思わせる。それが国政として良いことなのか悪いことなのかは分からない。しかし、支持を得ることは民主主義では絶対の権原であるから、民主主義国家の日本においては至極真っ当なことなのだと考えている。
ある意味では民主党も試金石と言える。今では単純な対立構造を作ることは難しくなっている。普天間基地問題がそうである。当初は宗主たるアメリカ対政権交代して脱属国の日本という構造がイメージされてきたが、事は日本の安全保障、ひいては国民一人一人の安全に関わってくることになってきた。そこで対立構造が崩壊し、今ではどうすれば良いのかが分からなくなって、民主党のはっきりしない方針に対して、国民新党や社民党の意見が先鋭化し、メディアや国民の注目を集めている。これも社民党対国民新党という対立構造があって、分かりやすい形で利益がぶつかっている。人々の行動は分かりやすい方向に向かいやすく、今日の政治は分かりやすい方向に向けた者勝ちとも言える。
もちろん核密約のように分かりにくい形の政治も必要となる場面はある。しかし、今は「古い自民党」というイメージを国民の中から追い出すことの方が重要だ。そして追い出す為には分かりやすい形でならなければ意味はない。総裁よりも派閥が幅を利かせていることを国民はよく知っているからだ。先の麻生政権がそうであったように。その為に派閥解体が、「今の自民党」には必要なのではないだろうか。もし、派閥解体が近いうちに実行できないまま参院選になれば、またしても惨敗するのは目に見えている。もちろんそれ以外の要素もあって自民党大勝ははかない夢に終わるかもしれない。
しかし、政治不信、自民党不振に陥った国民に対して何をアピールできるかといえば、まっさらな状態の自民党であって、派閥によって黒ずんだ自民党ではないだろう。
保守政党としての自民党を打ち出しているものの、では今までの路線は保守と言えたのかは微妙であり、そもそも保守主義の先にある守りたいモノは何なのかが国民には分からない。ただの旧態歴然とした自民党を守る為の方針に見える。加えて、政策についてもあまり期待は出来ない。普天間基地問題について具体的言及を避けている節があるし、日米合意に基づいて履行すべきと言っても、沖縄の今後についてのビジョンもなければ経済政策についてのビジョンも希薄だ。そのような状況下で出せるのは、小沢幹事長が幅を利かせるような政党ではない真っ白な政党であることだ。
いきなり与党に返り咲くのは難しいだろう。しかし、だからこそ、与党に戻るまでの間に真っ白な政党として存在し、日本中を駆けずり回って意見や提案に耳を傾け、国政に挑んで欲しいと思う。
ただの理想論に過ぎないかもしれないが、自民党における派閥解体はこのような意味も含んでいて欲しいと、一有権者としては強く思う。
2010年2月26日金曜日
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